「可哀想」という言葉が先輩を追い込んでいった。
そのうち、先輩は人間不信に陥った。
しばらくの間、お世話になっているお婆さんやお爺さんさえ怖かったらしい。
それを語る先輩の横顔が痛々しかった。
「それで、小学校の時は登校拒否。中学に入ってからまた通い始めたけど…」
一泊おいて。
「両親がいないっていうのは他の子にしてみたら変な事だったろうね。その『ヘン』っていう事がいじめにつながった。」
いじめ。
胸が痛んだ。
いじめ、られてたんだ…
「それでも学校には行ったけどね。最後にはみんな飽きてかまわなくなったけど。」
泣きたくなった。
