「は、勇人…。」
横には勇人が居た。
心臓がどくん、と痛む。
何で居るの…?
忘れようって決めたのに…。
勇人も思いがけず、私に会った事でかなり動揺してるみたいだった。
「ごめんねー、クリームパンあと1個しかないのよ~。」
おばちゃんが困ったようにして言う。
「あ、いいんです。私別の買いますから。」
「あら、そう…?」
さっき自分で『別の買う』って言ったくせに何も買わずに早足で人だかりを離れた。
心配そうにして恵美が駆けよってくる。
「かな……」
私は恵美の方を見ないで言った。
「いいの。行こ。」
