この頃、街では竜が暴れまわっているらしい。
その為、商売繁盛しっぱなし。
「なあ、ラティスト」
「ん」
隣で声をかけてくる同居者バーディ・クリズディは、暗い表情を浮かべて俺を見た。
「…問題だしていい?」
俺は横目でバーディを見ただけなのに、了承したと勘違いしたのかバーディの口が開いた。
「竜が暴れて剣が売れるのは、とても嬉しい事。だけど俺がこんなに悲しい表情を浮かべているのは何故でしょう?」
俺達は、街を上がった丘にある煉瓦の一軒家で住んでいる。
丘ごと買ったその家で、剣をつくっているのだ。
幼少の頃つくりかたを教わった為、出来は最高。
そこら辺の勇者よりは、俺達の方が剣の事をよく知っているだろう。
そんな事はさておき、俺はバーディの質問に即答。
「剣が足りてなくて、隣の胡散臭い奴らの方に客がいったから」
勇者達は、『自分達だけいい剣を買っては不公平だ』全員で駄目な剣を買っている。
おーまーえーはーアーホーかっっ!!!
一種のイジメが、街では流行っているのかもしれない。
まあ適度に普通の日よりは儲かったものの、やっぱり物足りなさを感じてしまう。
「なあ、ラティスト」
「ん」
「帰ろっか…」