漆黒の美しい髪の毛が、踊るようにはねていた。
瞳の色も髪の色に似せたような漆黒。
その容姿は、誰もが息をのんだ。
だが実際は十にも届かない少年。
白い肌と無邪気な笑顔が、幼さを抜けきれていない証拠だった。
「……ラティ」
名前を呼ぶと、さっきまで土を掘っていた手を上げて飛びついてくる。
軽いその体は、上等な衣服で包まれていた。
脇の下から抱き上げ、額に軽く唇をつける。
くすぐったそうな笑いを口からもらし、同じ目線になった喜びを足を揺らして喜んでいた。
「ラティ、帰ろうか」
少年が、細く白い首を傾ける。
了承の合図なのか、それ以上その少年は何もしなかった。
「…ねぇ」
暫く経った後、少年は小さい口を開く。
癖になったのか、額に唇をつけるとまた少年は軽い笑いをもらした。
「ねぇ、何処行くの?」
肩に顔を埋めて、問いかけてくる。