†悠斗†

麻莉がスタッフに呼ばれて去った時、俺から離れていく気がした。

気のせいだよな。

1人でいると、夏目さんが近づいてきた。

俺、まぢでこの人苦手。意味わかんない。

「悠斗くん。話があるんだけど…。」
「なんですか?」
「ここで言っていいの?」
「どーゆー意味ですか?」
「あたし、知ってるんだ〜♪桜…ううん、麻莉ちゃんのこ・と…。」

そう言って笑った夏目さんに寒気すら感じた。

「なんの事ですか?」
「まだ、隠すの…。生嶋麻莉。高校1年生。梶高校に通う。」

なんで、そんなこと…。

「その人なら、俺のクラスにいますけど。」
「もう、いいってー。わかってんの。悠斗くんがどんなに隠してもムダ♪」

俺、どーすればいんだよ…。

「どーせ同じ事務所じゃん。あ、一番驚いたのは社長が父親だったことねー。」
「…。」

もう、隠せないだろう。きっとそれを使って条件を出すはずだ。

「…よく…調べましたね。」
「敵の情報を持たなくてどぉすんのよ。ま、場所変えよっか。」

そう言って、夏目さんは歩き出したから俺はついていく事にした。

来たのは、スタジオにある誰も来ない倉庫。

「夏目さん、収録は?」
「あたし、あの番組じゃないよ。出るの。今頃、桜ちゃんビックリしてるだろーなぁ♪」

確かに。収録が終わったらその事、俺に話すんだろうな。

「あ。今、麻莉ちゃんの事考えたでしょー?」
「麻莉って呼ばないでください。」
「嫌だ♪で、本題に入るけどぉ。」
「はい。」

何を言ってくるかわからない。

「このこと、あたしがいつでも言えるって…わかるよね?」
「はい。」
「そこで、悠斗くんにお願いがあるんだよね。」
「はい。」

俺が出来ることなら、やらないとな…。

「あたしと、付き合って♪」
「は?」

何を言い出すかと思えば…。