「───…ント…」
か細い声が風に乗る。
「……リリス…?」
とシルベリアは、驚いて
リリスの方を見つめる。
リリスは、不安げに唇を揺らしていた。
「イノセント…っ!!」
今度ははっきりとした口調で
声を張り上げる。
シルベリアはおお、と
喜びの表情を浮かべる。
帰ってきてから
一度も口を聞こうとしなかったリリスが
ようやく言葉を発したのだ。
しかし、彼女の足は
燃える家へと向かおうとする。
シルベリアが彼女にプレゼントした
松葉杖を使って──…
シルベリアは、驚いて
その手を捕まえた。
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