"ついて来い"
私は、ぶっきらぼうに
そう言うことしか出来なかった。
歌姫は、嬉しそうにフリルを揺らせて
"ありがとう"と言った。
そして、父上のいる玉座までやって来た。
私は、ここに来ることが嫌だった。
兄上と父上の姿を見たくなかった。
兄上は父上のお気に入りだったから。
2人の姿を見て
傷つきたくなかった。
私が玉座の扉を開くことを
躊躇していると
彼女は、私の扉に掛けた手ごと
開いてしまった──…
私は、彼女と自分の手が
重なったことへの不思議な感覚を
味わったあと。
すぐにしまったと思った───…

