なんともない。
────…だが、
左手に血が滴っていた。
「え?は……?ちょ..」
トラキアは、焦って
血の出どころを探した。
それは、意外にも早く見つかった。
なぜならば、傷口は
手首だったからだ。
「──────…っ!」
トラキアは再び怒りに燃える。
「あんの……くそライオーン……っ!!」
トラキアの怒りの叫び声は、
中庭に児玉していった。
「────…うるさい、」
ライアンと歩いていたデカルトは、
響いてきた叫び声に眉をひそめた。
そして、
「ライアン、次は"頭"だぞ」
と淡々とした口調で言った。
ライアンは、上機嫌に
「ガォ」
と鳴いた。

