「だから、イノも信用出来ない..」 トラキアは、暗く影を落として言った。 「……それは、どういう事だ?」 キルトが問う。 「イノも孤児だ。しかも、俺とは違う。名前のない…、な」 …………? 「どういう事だ?」 「イノに本当の名前なんてない、あいつは名前をつけられる前に捨てられた。だからこそ、ダネスには逆らえない──…」 「絶対服従……ですか」 デカルトが重く言った。 「あぁ……、実際に血の痕を見つけた。床に赤い染みが、な」 ───…なんだと?