五時間目終了を知らせるチャイムが鳴り響く。

と,ほぼ同時に机をバンっと叩く音がした。


叩かれたのは,私の机だった。

叩いたのは,タケだった。


「……何」

私は語尾を下げ,顔は上げずに目だけ上を向けた。


「『何』じゃねぇよ!この野郎。お前のせいで授業に遅れただろ!」


「知らないし」


「罰として補習が出来ちゃったんだぞ!?」


「だから?」


「部活行かねぇといけねーんだよ,俺」


「なんで私に言うわけ。自業自得でしょーが」


「お前…可愛くねぇなーもうちょっとこう…
『ごめんね?』とか『手伝おっか??』とか言えないわけ!?」


可愛くない...


分かってるよ,そんなの。


「じゃあ可愛い子に手伝ってもらえば!?」


カバンを持ち,言い捨てるようにして教室を出た。

私って,ほんっとに可愛くない。

最悪。


「柴井ー!!」


背中のほうから声がした。

振り返ると,タケが走ってくる。

「何よ!」

…また強く言っちゃった。

「怒んなよ」


「怒ってない」


「あのさ,体育祭の実行委員のことなんだけど」


そういえば,もうすぐ体育祭。

「実行委員が何??」