「梓ー!!おはよう!!」


「おはよう,美紗紀」

私が今挨拶を交わしたのは,クラスメートの山下 美紗紀(ヤマシタ ミサキ)。


髪はポニーテールで,いつも元気な子。


私は美紗紀と一番仲がいい。


明乃はどうしたかって??


知らない。


だって今,学校違うもん。



高校入試のあの日,私は逃げた。


高校でも三年間二人を見ていくのは,辛すぎるから。


私には,耐えられないから。


頭で思っているのとは全く違う回答を,紙に書いた私。


わざと落ちた


って言ったら悪く聞こえるけど,簡単に言えばわざと落ちたってことになる。


私は後期募集で予定の高校より少しレベルの高い高校を受け,見事合格して今ここにいる。

明乃とタケは無事予定の高校に合格したらしい。


今は仲良く高校生活を送っているんじゃないかな。



今,私にはわからないことがある。

それは…

「おいアズっ!」


「…なに,恵」

そう,恵。


あの恵が,私と同じく受験に失敗し,今私と同じ高校に通っているのだ。

「話があるんだけど…」


「私はないよ」


「俺があんの!いいから来い!!」