《明乃Side》

私は,静かに語りだした。

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今から四年半前。

私がまだ小学五年生になったばかりの頃のこと。

私には,好きな人がいました。

その人の名前は新條 巧(シンジョウ タクミ)。

同じ学校の同級生。

巧は,私の彼氏だったの。

告白したら,なんとOKもらえちゃって。

付き合うって言ってもまだ小五だからデートとかはあんまり出来なかったんだけどね。

それでも帰りとかは家まで送ってくれて,すごく優しかったの。

私の誕生日にも,文房具とかじゃなくてネックレスをプレゼントしてくれたんだ。

大人だよねー!!

それで,冬休み。

クリスマスの直後にいきなり呼び出されちゃってさ。

私すっごく期待したのに,巧なんて言ったと思う??



明日,北海道に引っ越すことになったんだ



だよ!?

私,頭の中が真っ白になっちゃって。

そんで巧は携帯持ってなかったからそのまま音信不通。


それが,私の初恋だったの。


あの日は寒くて雪が降ってたから,今でも雪を見ると思い出しちゃうんだ。


巧,元気かなー…

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話し終えてみんなの顔を見ると,なんとなく淋しそうだった。

同情してくれたのかな。

私はそのあと,

「まぁ…あのまま続いてても,どうせ中三になる前にお別れだったし。結局初恋って叶わないんだよねー」

と笑顔で言った。