時が流れるのは,早い。

弱虫な私は,春から何一つ変えられないまま秋を迎えようとしている。

「班,誰と一緒になれるかなっ」

いつも以上にテンションの高い,明乃。

テンションが高い分,いつもより声も高くなっている。

「そーだねぇ…」

一方,私のテンションは低い。

そのワケは,修学旅行を間近に控えたクラスメートにあった。


「タケー誰と班組んだのぉ??」


「恵だけど…」


「あーやっぱりぃ!アタシたちタケの班とくっ付きたぁい」


最近,タケはモテる。

クラスメートどころか,学年関係なく年下にもモテてる。

たしかに恵とのツーショットは,かなりカッコいいし。

私は女子に囲まれてる二人を睨みつけた。


「梓コワいよー」

明乃が眉をハの字にして私に言う。

はーぁ。

一緒になれないかな。タケと。


「おーい柴井!ちょっと来てくれ!」

いきなり担任に呼ばれる。

「はい」

担任のジジイは,私を廊下に連れ出し,言った。

「すまないが…修学旅行の班,香野と倉持と一緒になってくれないか??」


「へ??」


「あの二人はトラブルメーカーだからな。化粧してる女子なんかと同じ班になっちゃったら何が起きるか分かったもんじゃない」


「はぁ…」


「頼む!!」

初めて,このジジイが天使に見えた。

「分かりました!!任せてください!!!」


「ありがとう!柴井!助かるよー」


「いえ。でわ,失礼します」