「おはよう,梓。晴れてよかったね」

「おはよう明乃。今日は頑張ろうね」

学校に着くと,生徒全員が白い体育着に身を包み,色とりどりのハチマキを頭に縛り付けている。

今日は,待ちに待った体育祭。

タケと実行委員になったものの,まったく進展がなく,甘い雰囲気にもならないまま体育祭当日を迎えてしまった。

「遅ぇよ!!ほら,お前らのハチマキ!!」

タケが青いハチマキを二本,私たちのほうに向けた。

「ありがとータケ」

明乃がそれを笑顔で受け取る。

少し,胸が痛んだ。

「私リボンみたく結ぼっかなー」

明乃は,やっぱり女の子だ。

器用に自分の頭の右サイドにリボンを作っていく。

「梓もやれば??」


「えっ…私はいいよ」


「私がやってあげるよー★ちょっとしゃがんでっ!」


私は言われるままに中腰の体勢になる。

「ほら,出ー来た☆」


「ありがと…」

ちょっと恥ずかしかったけど,素直に嬉しかった。

少しは,女の子になれたかな…



ダルい開会式が終わり,

競技も始まって祭が盛り上がってきた頃。

「大丈夫!?」

クラスメートがざわついている。

「どうしたの??」

私と明乃も近寄ってみると,右足のヒザに包帯を巻いた山本さんが固まりの真ん中に座っていた。

「山本さん,さっきのリレーで転んじゃって…」


「うそ!!大丈夫なの??」


「んー…今日はもう走っちゃダメだって…」


「そんな!山本さん足速いのに…」


「ごめんね…」

俯く山本さん。