俺は手を放し、そいつを思いっきり睨んだ。




「かず・・・や。あたしっ・・・、ごめっ・・・なさ・・・」





そいつは泣きながら俺を見つめてきた。





「あのさぁ・・・。何でこんなことすんの?佐奈にさ、恨みでもあんの?答えろや」





俺は鮎川に問いかけた。




「・・・ふぇっ・・・。違うのっ・・・!」








「じゃあ・・・何なんだよ?」




「ただ・・・あたし、和哉が好きで・・・。あたしっ・・・。悔しかったの。佐奈はあたしより、和哉と付き合い浅いのに・・・」






は・・・?




「それだけ?」



「・・・っそれだけって・・・。そう・・・だけど」





俺は階段の1段目に足を乗せた。



「あのさぁー・・・」