えんどう豆のゆくえ

 少しぶっきら棒な言い方になってしまったからか、美姫はびくっと小さく震え、それから首を縦に振った。

 「えっと、あなたは……」

あなた。ドラマでしか聞いたことの無い二人称に、吹き出しそうになった。そうだ、この子は東京から来た子だったのだと今更ながらに思う。
 
「私は安西夏海。雨降って来たから雨宿りさせてもらっとってん。ありがとな」

「い、いえ……」

優しいお母さんやね、とか、家ここやったんや、とか。掛けられる無難な言葉は沢山知っていた筈だった。