えんどう豆のゆくえ

 女子の中心に君臨する三人のこと。竜のやらかした幼稚な悪戯。ランの言っていたおとなっぽい台詞。そして、大好きな風馬のこと。
 
 彼女は私の稚拙な雑談をにこにこして聞き、

 時々「女って怖いよねえ」とか、

 「その子本当に馬鹿だね」とか、大人に対するように相槌を打ってくれた。

 「ふぅん、それで、その子のこと好きなんだ」

唐突に彼女はそう言った。風馬のことを話していた時で、私は洋服の胸あたりが大きく波打つのを感じた。

 好き。そう、私は風馬が好きなのだった。いつも私自身が使っている言葉なのに、違和感があった。

 他の人に言われると、私の風馬に対する感情を馬鹿にされている気がして、もっと違う気持ちなのにと思う。でも自分で表現しようとすると、「好き」以外に言葉が思いつかないのだった。当たり前だ。



 「好き」は「好き」以外に表現しようがないのだから。