えんどう豆のゆくえ

 美姫いじめが始まって、2週間も経たないころだっただろうか。

部屋の床に寝転がって本を読んでいた私に、母が

「おばあちゃんち行って野菜もらって来なさい」

と有無を言わせない口調で言い渡した。

 馬鹿らしくなるほど田舎な私の住む地域は、ほとんどの伝統ある家は農家で、1キロ先にある祖母の家もその中の一つだったのだ。

 何でこんな暑い中、とぶつくさ言いながら、外に出て自転車を車庫から出す。夏休みは終わったけれどまだ夏そのものは続いており、太陽が嫌と言うほど照っていた。

 早々と出てきた汗を拭いながら、いっそ暑い時はずっと休みにしてくれればいいのにと思う。

 学校だけじゃなく、何もかも全部。