えんどう豆のゆくえ

 そして、それから優花たちは幼稚で陰湿な「いじめ」というものを実行するようになった。

 チョークの粉を浴びせたり、水を掛けたり、足を引っ掛けたり。

 安っぽい学園ドラマの悪役みたいに、けらけら笑いながら。

 そんなことには慣れていたランと私は、妙に正義の味方ぶって余計な敵を作らない方が何かと都合がいいことも知っていたから、ただ台風が美姫の頭上から消えることを願い傍観していた。
 
 そんな時でも、私が心配だったのは風馬のこと。美姫を心配する風馬が嫌だった。


「いじめられたのが私でも、風馬は心配してくれただろうか」


 そう考えてしまう自分がいたから。

 いつも、風馬の視線が美姫の方へ泳ぐ度に、むりやりそれを引き剥がす。そんな繰り返し。

 早い話が、私も美姫を疎んじていたのだ。

 そして自分でも、そんな自分が可愛くなくて、風馬に好きになってもらえることなどありえないことを知っていたから、余計美姫が嫌だった。
 
けれどそんな私が、4人の中で一番初めに、美姫と関わることになるのである。