えんどう豆のゆくえ

「男子はええとして、うちらは特に関らんほうがええやろ。」

 ランは冷めた口調でそう言ってから、水色のゴムで髪を括り直した。
 ショートヘアに近いくらいの長さの髪なのに、「少しでも女の子らしくなりたい」からと、無理矢理一つに束ねているのだ。
 
 うさぎの尻尾みたいで、私はいつも下ろせばいいのにと思っている。活発なランはいつも日焼けしていて、それには長めのショートヘアがよく似合うのだ。

「夏海はお人好しなんやから、巻き込まれんようにせなあかんで」

「そうやねぇ」

 ランの言葉にもっともらしく相槌を打ちながら、私はお気に入りの本に顔をうずめた。