脱力する僕を、それでも振り解く事なく梓は語る。

「私は貴方がこうするよりもずっと前に無様に地面にねじ伏せられて、ケダモノのように陵辱されたわ。無垢でも聖域でもない。私は既に汚された身よ」

そう言って彼女は不敵に笑った。

「それでも貴方の汚らしい『エゴ』をぶちまけられるよりはよっぽどマシだけどね」

「…………」

脱力。

弛緩。

その果てに、一つの感情が僕の体の中を満たしていく。

憎悪。

憤怒。

激昂。

どす黒い感情が、僕に再び力を漲らせる。

「誰だ…一体誰だ…僕の『エゴ』の行き場所を奪ったのは…僕の獲物を奪い取ったのは誰だ…!」

激しい怒りに声を震わせる僕。