エントランスを駆け出し、中庭に出る。

…その二つの気配の位置はすぐに特定できた。

激しく打ち合う音が森の方から聞こえる。

そして音以上に、吐き気を催すほどのどす黒い殺気。

殺意の塊二つが、身の毛もよだつほどの旋律を奏で合う。

凄惨で壮絶な『エゴ』が、相手の『エゴ』を飲み込もうとしていた。

どちらも知っている殺気。

私は迷わず走り出す。

広い森だが、探し回る必要はなかった。

私を呼び寄せるように、殺意は増幅している。

やがて辿り着いた先には。

「……!」

身体のところどころの肉や皮膚を削ぎ落とされた、血まみれの武羅人が立っていた。