離れた所で二つの気配が弾けた。

自室でくつろいでいた私は、すぐに屋敷の外へと駆け出す。

思えば今日のこの屋敷は静か過ぎた。

同居人が少ないとはいえ、二ノ宮も、武羅人もこの屋敷には住んでいるのだ。

にもかかわらず静か過ぎた。

…生き物は何の『痕跡』も残さずには生きられない。

どんなに気配を殺そうとも。

どんなに巧みにその足跡を消そうとも。

必ず生きている証は残してしまうものなのだ。

その痕跡が、今日はなさすぎた。

不自然なほどに。