だというのに。

「悪い事は言わない…」

血の流れる顔面を気にもせず、武羅人はゆっくりと立ち上がった。

苦痛に表情を歪めるでもない。

一方的にやられた事に憤怒するでもない。

全くの無表情。

「名前くらいは覚えておけ。佐久間武羅人だ」

そこで初めて。

武羅人は愉悦の表情を浮かべる。

「てめぇをスクラップにする男の名前だ…」