頬に。

鼻の頭に、顎に。

鳩尾に喉元に脇腹に胸板に脇の下に下腹部にこめかみに脳天に!

急所という急所に僕の『攻撃』が打ち込まれる。

流石の堕蓮持ちも、これほどの連続攻撃では反撃の余地もなかったらしい。

いいように嬲られた挙句、ガクリとその場に膝を落とす。

そこへ。

「そらぁっ!」

顔面への蹴り!

血を撒き散らしながら武羅人は後方に吹っ飛び、木の幹に背中から叩きつけられた!

僕の頬に血が飛び散る。

「不味い…雑種は血すら不味いな」

飛び散った血を舐め取りながら、僕は見下す。

いつも通りの『仕事』ぶりだった。

油断させて、見せた隙に容赦なく攻撃を加え、反撃の余裕さえ与えずに徹底的に叩き潰す。

遠慮も躊躇も情けも必要ない。

『仕事』は『仕事』と割り切る。

ましてや今回のは、半分私情だ。

この雑種の堕蓮持ちに手加減してやる理由はどこにもなかった。