私が武羅人の『エゴ』に…不本意ながら屈服して以来、彼はずっとこの屋敷に滞在している。

屋敷からの外出は自由、行き先も告げる必要なし、帰る予定も告げる必要なし、ただ私の敵にだけはならない。

そういう条件のもとで彼を私の所に引き止める事に成功した。

…最初は彼が早々に屋敷を出て行った時の所在の確認方法に頭を捻ったものだけど、意外にも彼は屋敷から一歩も出ず、こうして日がな一日、日向ぼっこと居眠りを繰り返している。

あの夜、私に見せた野獣の如き暴虐ぶりが嘘のように、武羅人は実に大人しくこの屋敷での生活を楽しんでいるようだった。

勿論それは私にとっても好都合であり、今のうちに『調べ物』をするには絶好の機会だった。