面倒臭そうに武羅人が頭を掻く。

「借りだなんて思わなくていい。俺が俺の『エゴ』でやった事だ。別にお前だから助けた訳じゃない」

「あらそう、有り難う」

私はフフンと笑って見せた。

いつの間にか立場が逆転していた。

「なら私が貴方に恩義を返すのも私の『エゴ』よ?貴方の意思なんて知った事じゃないわ」

「……」

それっきり、武羅人は黙ってしまう。

お前の『エゴ』に俺が付き合う道理はない。

私ならばそう切り返す所だけど、彼はどうも論戦には向いてないようだった。