夜中、ベッドの中で目を覚ました。

…声が聞こえたような気がした。

高笑い。

『魔性の女』の高笑い…。

「んんん…どうしたの…野須平くぅん…」

隣で寝ていた女が、甘えたように僕の首に腕を回す。

「ん、ああ…何でもないよ」

僕は何事もなかったかのように優しい笑みを浮かべて女に語りかけた。

「こんなに幸せでいいのかなって、ふと不安になっただけさ」

「ふふ…うふふふ…」

女はウットリとした表情のまま、僕にしなだれかかってきた。

…全く。

人間の女なんてのは単純でチョロいものだ。

少し甘い顔を見せておけば、簡単に身も心も許す。

僕はこの世界に存在する、どんな人間の女でも確実に口説き落とす自信があった。