悔しげに歯噛みしたまま、それでも儚は私を睨め上げる。

「…私の靴の裏を舐めなさい…雌豚…!」

気丈に私を罵る儚。

私は彼女のこんな所が好きだった。

気の強い彼女の性格がたまらなく愛おしく…そしてたまらなく殺意を掻き立てる…!

「踏み付けられてるくせに。靴の裏を舐めるのは貴女よ、負け犬。もっとも」

儚の頭を踏み付ける足に力を込めた。

「熟れすぎたトマトみたいに頭が潰れちゃ、舐める事さえもできないけどね」

ミシミシと頭蓋骨が軋む音。

血液が、脳漿が、辺り一面に飛び散る様がもうすぐ見られる。

如何に亜吸血種といえど、頭部を潰されれば絶命するしかない。

「さようなら、大好きだったわ、儚」