そんな儚が私を狙った理由は唯一つ。

出碧家の再興。

かつて杖縁家と同等の勢力を誇っていた名門一族。

その力と栄光を取り戻す為。

ただそれだけの理由で、彼女は私を屠るべく付け狙う。

その力を渡蘭市で誇示するには、現管理者である杖縁家の令嬢のこの私を実力でねじ伏せるのが手っ取り早い。

それだけの理由。

それは儚にとってのエゴそのものであった。

理屈も、道理も、仁義も。

そんなものは関係ない。

己のエゴを通す為。

私と儚は闇夜の更に暗がりで、共に相手を殺すべく殺し合った。