そして亜吸血種。

私達は人間以上にたやすく狂乱に走る、どうしようもなく愚かでヒトデナシな生き物。

…累々たる雑種の亜吸血種の屍。

その屍の山に腰掛けたまま、私は満月を見上げる。

「梓」

そんな私を呼ぶ声。

儚だった。

彼女もまた、返り血にその身を汚しながらも無傷だった。

鮮血の彩りを添えられ、その可憐さに妖艶ささえもが加わる。

ぞっとするような純真無垢な笑みを湛え。

「そろそろ屋敷に帰りましょう」

彼女は歌うように言った。