梓を這い蹲らせた。

勝った。

高笑い。

直後。

「っっっっっっっっ!!」

私は戦慄した。

背後に誰か立っている。

それが。

「動かないで下さい」

出碧儚だと気づいたのは、完全に背後を取られてからだった。

…堕蓮の心臓の性能に酔いしれる余り、目前の梓にしか気を回していなかった。

そう、この場には私の敵がもう一人いたのだ。

しかし言い訳をさせてもらえるならば。

この娘は取るに足りない存在だった。

堕蓮の心臓を得る前の私にすら太刀打ちできない脆弱な亜吸血種。

その考えが、儚に背後をとられる結果となってしまった。