それでも。

俺は儚の加勢ではなく、自らの傷の再生に専念していた。

戦闘ならば、儚には勝ち目はない。

純粋な勝負ならば、今のしとねは同じ堕蓮持ちの俺よりも強いだろう。

だが…闘争ならば別だ。

闘争とは手段を選ばぬ殺し合い。

最終的に相手を屈服させた者が勝者。

そういう闘争ならば、しとねは確実に負ける。

何故なら儚は、己の『エゴ』を押し通すという点において、誰よりも強い力を持つから。

忘れていないだろうか。

彼女が出碧の一族である事を。

アイツはこの俺さえも屈服させた事を。