しとねの高笑いがここまで聞こえてきた。

離れた部屋。

俺は艶との闘争で受けた腹の傷がまだ再生しきらず、じっと座ったままだった。

…堕蓮の心臓を自分の体に移植するとは恐れ入った。

そんなイカれた事、あの女以外は誰も思いつかないだろう。

拒否反応が起こらず、肉体に適合したのは奇跡としか言いようがない。

結果、あの女は堕蓮持ちとなった。

名門出の亜吸血種をも凌駕する出力を誇る堕蓮持ち。

俺に敵わなかった梓が、今のしとねに勝てる訳がない。

大方手も足もズタズタにされて這い蹲っているに違いない。

…梓がやられたら、次は儚の番だ。

儚も梓と同じだ。

戦闘能力だけで言えば、儚は梓にすら劣る。

真っ向から勝負を挑んで、しとねに勝てるとは到底思えない。

堕蓮の心臓を得たしとねは、それほどの戦闘能力を持っているのだ。