堕蓮の心臓を移植する。

想像もしなかった方法で、しとねは堕蓮持ちとなった。

…艶の心臓を自分の心臓と取り替える。

それは高性能のエンジンを積み替えるのと似ている。

「ふぅん…これが堕蓮の心臓かい…」

汗ばんだ顔で、しとねは恍惚とした表情を浮かべた。

「何ていうか、こう…血が滾る感じだねえ…血流が全身を駆け巡っているのが理解できるよ…体温が一度二度上昇したような…」

…事実、しとねの近くにいるだけで気温が上がったように感じられた。

何百キロと走行し続けた直後の車のエンジンに似ている。

熱を帯びた肉体が、周囲にいる者にまで熱を伝えていた。

「平時でこの感覚なら…戦闘時にはどうなるんだろうねぇ…」

しとねの視線が、ゆっくりと私に向けられた。