歓楽街。

そのネオンを避け、私は暗がりへ、暗がりへと足を運ぶ。

騒々しいのは嫌いだ。

『只の人間』が本能的に畏怖する、灯り一つない闇の中へと踏み込む。

…闇夜は『私達』の狩り場だ。

闇に潜み、時には誘い込み、漆黒の中で獲物を仕留める。

『私達』は元来捕食者なのだ。

牙も爪も持たない、闘争心なき人間達を捕らえて貪り食う狩猟者。

遠い祖先…太古の昔より生きる人外はそうだった。

そして進化の過程で幾つもの特性を失いはしたものの、今もまた私達は捕食者としての本能を失わない。

闇夜が来る度気分がざわつくのも、そんな捕食者としての本能なのだろう。