昔から言うだろう。

手負いの獣が一番怖いと。

俺の事を『ケダモノ』と認識しておきながら、艶は一思いにとどめを刺さず、嬲るような真似をした。

これは自業自得。

なるべくしてなった結果だ。

「…ケダモノの武器は牙と相場が決まっている…油断したな、艶」

柔肌に深く深く食い込む牙。

その牙で。

ゴキン!

首の骨まで噛み砕いた。

ビクン!と跳ねる艶の細い体。

そのまま不規則に痙攣を続ける。

「……」

俺はゆっくりと牙を放す。

床に倒れ、痙攣を続ける艶。

首を折られ、頚動脈を食い千切られている。

如何に堕蓮持ちの亜吸血種といえど、この傷は致命的だろう。

再生が終わるよりも早く、失血死は免れなかった。