梓は油断がならない。

が。

矛盾しているようだが、俺はアイツがしとねに寝返るとは思わなかった。

何故ならあいつを動かす原動力は『エゴ』だから。

方法は違えど、梓もまた儚と同じようにこの地の掌握を狙っている。

しとねは違う。

掌握ではなく、闘争そのものが『エゴ』。

どちらにつくかは考えるまでもないだろう。

亜吸血種は本能で動く。

『エゴ』こそが行動理由。

たとえその果てに無惨な死が待っているとしても、その欲望を満たす為だけに生きる。

恐怖や打算を欲望が凌駕する。

この世で最も原始的で、この世で最も愚かな生き物。

それが亜吸血種だった。