私はしばし黙して考えを巡らす。

連中が本腰を入れたって事は、私もボヤボヤしてられないって事だ。

まずは…そうだね。

「艶」

私は目の前の給仕の名を呼んだ。

「お使いを頼まれてくれないかい?」

「はい。何を…?」

「そうさね」

煙管を一度吹かして、私は言う。

「上等な茶を…雁金なんていいかね…それと茶菓子を適当に見繕っておいで」

「は?」

小首を傾げる艶。

…わからないようじゃ、まだまだ理解してないって事さね。

「明日殺し合いをする相手だろうと、今日は茶の湯を交わす。それが『粋』ってもんだよ」

私はニヤリと笑って見せた。