「儚」

雑種の女を仕留めた私達の所に、武羅人が戻ってくる。

彼はいつ見ても返り血に塗れているという印象がある。

この夜も。

「そら」

どこかで惨殺してきた亜吸血種の首四つを片手にぶら下げ、生乾きの返り血に衣服を汚していた。

「もう少し汚さないようにしてもらえませんか、武羅人…この地には人間の目もあるんです」

苦笑いすると。

「何、目撃者があったらそいつも始末するさ」

悪びれもせずに武羅人は言ってのけた。

全くもってケダモノだ。

彼の行動は、私でも完全には制御できない。

彼も梓と同じく、いつ暴走するかわからない危険を孕んでいると言えた。