効果は覿面だった。

梓の表情が目に見えて脅える。

これ以上の責め苦をされれば、確実に彼女は自我を崩壊させる。

そんな事は俺にも、勿論儚にもわかっていた。

その上で言っている。

「彼女の心を折るのに、加減はいりません。何せ矜持の高さは私や野須平しとねの比ではないですから…万が一梓が廃人になったとしたら…」

儚は一度だけ梓に視線を送った。

「その時はその時です」

「……!」

ぶるっ、と。

梓の体が震えた。

使い物にならなくなっても構わない。

儚はそう言い捨てたのだ。

「では引き続きお願いします」

俺を残し、踵を返して檻を出る儚。

その背中に。

「ま…って…!」

梓がかすれた声で言う。