目の光を失いつつある梓。

ただ、檻の扉が開く度にその瞳には『色』がこもる。

脅えの色。

誇りと尊厳を粉々に砕かれる事に対する恐れ。

同時に、浅ましく陵辱を受け入れてしまいつつある自分に対する恐れ。

「武羅人、何ですかこれは」

儚が俺をジロリと睨む。

「手ぬるいです。彼女ほどの名門亜吸血種が、この程度の責めに屈すると思っているんですか?」

…上手いな。

俺は内心、儚の発言に笑みを浮かべていた。

俺は俺の出来うる限り、限界までの責め苦を梓に与えている。

これ以上やれば梓の精神が保てない、そのギリギリの線を見極めた責め苦。

しかし儚はわざとそれを読み違えたふりをしている。

梓を高く評価しつつ、更なる責め苦も有り得ると、暗に伝えているのだ。