さて…そろそろ校舎に戻ろうか。

私は屋上のフェンスに背を向け。

「!」

いつの間にか囲まれている事に気づいた。

男子生徒が五人ほど。

…この学園の生徒の顔などいちいち全員は覚えていないが、それでもこんな生徒はいなかったと断言できる。

青白い肌、白濁した眼、だらしなく涎を垂らす口元。

完全に自我を崩壊させている表情。

「…あらあら」

私は表情を強張らせた。

五人が五人とも『虜』にされていた。

こんな古典的な方法を使う同胞が、まだこの街にいたのね…。

と、そこまで考えてすぐに思い出す。

そういえば『あいつ』もそういう家柄だったっけ。

何にしても今やるべきは、この目の前の五人の生徒の処罰だ。

彼らを野放しにしておけば、まず私を襲い、それに飽き足らずこの学園の生徒達も見境なく襲う。

そしてこの五人と同じように、襲われた生徒達も自我を崩壊させるのだ。