さて。

計画は成功した。

一瞬にして、強力な堕蓮持ちの佐久間武羅人を手駒に加える事ができた。

優秀にして凶暴な飼い狗を傍らに従え、私はもう一人の『狗』の予定者に視線を向ける。

美しく哀れな雌犬に。

「ご機嫌如何ですか?梓」

「くっ…!」

歯噛みしたまま、梓は声を漏らす。

こんな屈辱はないだろう。

事実、彼女は武羅人を味方に引き入れた瞬間に、この渡蘭市を掌握した気になっていたに違いない。

野須平も、出碧も、もう恐れるに足りないと。

その油断がこの事態を招いた。

「教えてあげますよ、梓」

私は優越感に満ちた笑みを浮かべる。