本音を言うと、危険な賭けだった。

獣並み、いや獣以上の鋭い勘を持つ佐久間武羅人。

彼に不意打ちで『吸血』ができるかというと、かなり分の悪い賭けだった。

事実彼は私の背後からの反撃に、致命的なまでの反撃を繰り出してきた。

かすめるだけで頚動脈を断裂させるほどの手刀。

あのまま放置されていたら…初手で武羅人を『吸血』できなかったら。

私は出血多量で死んでいた事だろう。

亜吸血種でありながら血が足りなくなって絶命という、恥ずべき結末を迎えていたに違いない。

しかし…私の虜となった武羅人は、想像以上に忠実で優秀な狗となった。

即座に自分の判断で私の頚動脈の傷口を押さえて止血。

その間に私は亜吸血種の再生能力を生かし、傷を塞いだ。