武羅人は私の言葉にも大して反応しない。

それどころか、さも当然の如く。

「お前だ」

抑揚のない声で言ってのけた。

「……」

何か言い返してやりたいのを、グッと堪える。

…事実、餌と言われても仕方がないほどの蹂躙と陵辱と敗北を、私は武羅人に味わわされた。

それに野須平。

仮に私が野須平と一対一の闘争を繰り広げたとして、私はここまで圧倒的な勝ちを得る事ができない。

結果から見るほど野須平は弱くない。

『狗』として一流の亜吸血種であり、彼の『狩り』によって、人間、亜吸血種、その他の人外に限らず、数多くの者が血の海に沈んだのだ。

私に見せたあの執着心。

あの粘着質な嗜虐性により、ズタズタに肉体を破壊されて葬られる。

野須平は楽園に名の知られた狗だった。

今はもう、名もなきただの肉塊でしかないけれど。