目を覆わんばかりの凄惨な屠殺の現場。

もっとも、私は別段目を覆うでもなく見ていたけれど。

…振り向いた武羅人は、凄まじい姿になっていた。

まだ拳から滴り落ちる血液が生々しい。

だけど、こんなものなのだ。

闘争と血に彩られた、亜吸血種の日常というのは。

身も蓋もない言い方をしてしまえば、こんな光景は見慣れていたし、骸と化した野須平にも何の感慨も湧かなかった。

武羅人も同様なのだろう。

表情一つ変えずにその場に立っている。

「ちょっと」

私はそんな武羅人に言ってやった。

「誰が貴方の餌よ?」