一歩足を踏み入れると、優しい香りが私たちを包む。




「どれにしよう・・・ケーキおいしそ~!!」


メニュー表のおすすめケーキがあんまりにもおいしそうに写っていて、乙女心をくすぐる。

あれもこれもって迷う私を優しく見守っててくれる先生に、余計急ぎたくなる。



「どれにするんだ~?何でもいいぞ、ゆっくりうまそうなの選べよ」



覆いかぶさるように、私の頭上から顔を出してメニューを覗く。



や、やばい・・・


先生、恥ずかしいよ。



ゆっくり選べるわけないじゃん!!



顔真っ赤だし。


足・・・震えてきた。




「・・・じゃあ、これにする」


「はいはい、これな。これと、アイスココアだっけ?」


「は・・・はい、そうです」



緊張のあまり、敬語になっちゃった。


私から離れて、注文に行く先生の後ろ姿を、じっとにらむ。




好きだよ


悔しいくらいあなたが好きだよ



大好き!!



先生は私にドキドキしたりはしないのかな・・・

大人だから、余裕なのかな。


それとも、少しぐらいはドキドキするのかなぁ。