「運転手は中に入れないので」


あたしが思っていることを察したのか、申し訳なさそうに若井さんが言った。



……一人で行けと?

みんなが注目している中、あんなに人がいる階段をのぼって校舎のなかに入れと?


「時間ないですよ」


あたしを急かす若井さん。


そんなことわかってるわい!!


行けばいいんでしょ!


行けばッ


「じっじゃあ、い、いって、くる…!」


拳を握って
あたしは一歩踏み出した。