そう言って、天祢くんは私の頭を日誌で軽く叩いた。


「俺、これ持って行っとくから。作間部活行っていいよ。」

「っえ!?そ、そんな悪いよっ!」


慌てて立ち上がろうとした私に、「いいよいいよ」と彼は首を横に振った。


「俺の、点数稼ぎ!」

「ふええっ!?ちょ、天祢くん悪魔疑惑!」


慌てる私に、彼は「嘘だってば」と、また眉を八の字にして笑いかけた。


「作間は部活、出たいでしょ?」

「え、あ…!」


スランプなんだよ、なんて言えなくて、私はこくりと頷いた。

そんな私に、彼は再び笑いかけ、「また明日ね」と呟くように言った。

天祢くんが出て行った教室に、下校を呼び掛けるチャイムが鳴り響く。
私は、慌てて荷物を鞄にしまい込んだ。

はやくしないと、里菜ちゃんに置いていかれる。私は軽くダッシュで校庭へ向かった。


「もーっ!咲、遅いよおっ!」

「ご、ごめん里菜ちゃんっ!これでも私急いだんだよっ?」

「なら良し!」


里菜ちゃんはにっこり笑うと、「で、」と口を開いた。


「当番。疲れた?」

「あ、ううん。天祢くんが、ちゃんと手伝ってくれたから。っていうか、ほぼ書いてくれた。」

「ほー。透也くんも何気紳士なのかな?」


そう言って、里菜ちゃんは関心したように何度も頷いた。